きよしこの夜
 

『きよしこの夜』
 クリスマスになると必ず流れる曲『きよしこの夜』。世界中で知られるこの有名なクリスマスソングは、1818年、オーストリアの小さな村オーベルンドルフで誕生しました。

 作詞家はヨーゼフ・フランツ・モアー(1792~1848)。私生児として生まれたモアーは、1815年、教皇の特別許可をもって司祭へと任命され、教区教会管理者の助手として、オーベルンドルフへやって来ます。村人に大変親しまれたモアー司祭は、オーベルンドルフの人たち(ほとんどが塩の運搬をする船乗りで、冬には仕事がない貧しい人たち)にクリスマスの曲をプレゼントしようと考えました。当時、教会の礼拝は全てラテン語で行なわれ、村人は内容を聞き取ることができずにいたことから、モアー司祭は『きよしこの夜』を誰にも分かりやすいようにドイツ語で作詞しました。
 1816年にモアー司祭によって書かれた歌詞に続いて1818年『きよしこの夜』の作曲者フランツ・クサーヴァー・グルーバー(1787~1863)のメロディーがのせられます。この村の教会のオルガニストをしていた小学校教師のグルーバーは、モアー司祭とともに1818年のクリスマスイヴ・ミサの最後に、クリッペの前で『きよしこの夜』を発表したと伝えられています。グルーバーはこの曲をギターで伴奏し、なるべくラテン式(オルガン)を避け、庶民的なミサにしようと心掛けたのではないかとされています。クリスマス前に教会のオルガンが壊れてしまい、修理も間に合わず、イブの夜にグルーバーのギター伴奏で、二部合唱をしたとも言われています。

 チロルでは毎年必ずクリスマス・イヴとクリスマスに『きよしこの夜』が各家庭や教会で歌われます。そしてクリスマス・ミサの最後には、必ずハイライトとしてこの曲が全員で大合唱されるのです。『きよしこの夜』の静かで美しいメロディーは、イエス・キリストの誕生を祝福する最も大切で、庶民的な曲として世界中で歌われ続けています。