アルプスの花・植物
 

たくましいチロルの植物たち

花は大自然からのメッセージ

ハルリンドウ

チロルが誇るアルプスの大自然は、現在の形となるまで長い年月を経て形成されてきました。1万数千年前に最終氷期を迎えたヨーロッパは、気候温暖化により次第に大陸全体を覆っていた氷が南方から溶け始め、滝や川となり、山を削り、数多くの渓谷や美しい湖を作り出しました。その後、沼地と化した一帯には、やがて動物や風によって花粉が運ばれるようになり、豊かな植物が育つようになりました。このように、氷期と温暖期の激しい気温変動は、動植物の進化を促進させる大きな役割を果たしたのです。チロルは、アルプス地帯に石灰岩山地*と原成岩の両種の岩石が存在することで、植物の種類がとても豊富なことも特徴です。過酷な自然現象の中で進化を遂げてきた植物は、様々な個性的な形態と輝くような色彩をもち、あらゆるアイデアをもって生存競争を勝ち抜いてきました。現在、アルプスに広がる美しい花の世界には、アルペンローゼ、リンドウ、レースフラワー、エーデルワイス、タンポポ、そしてカモミールといったかわいらしい花々やハーブが力強く健気に咲き、チロル一帯はまるで花の宝庫となっています。大自然の雄大さとたくましさ、標高差によって異なる無数の植物の種類・・・。アルプスの花々の魅力は私たちを惹きつけて止みません。見惚れるようなアルプスの景色に囲まれながら、色鮮やかな花のじゅうたんの上を歩いていると、途中思いがけない珍しい動物や高山植物に出会うことができます。その喜びと感動に包まれたとき、人は自然のありがたさと地球の神秘に改めて気付かされるのです。自然の持つ不思議なエネルギーは人々の日頃の疲れを解消させ、また新たな活力を与えてくれるのです。

*石灰岩山地:約3億年前の古生時代、海中に沈んでいた土地。現在も貝殻やアンモナイト類の化石が発見される。

 
 

チロルの「自然薬局」

色とりどりの花々と無数のハーブが咲き乱れるアルプスの自然美・・・。絵画のような美しい自然の中にレッヒ村はあります。村の周辺に広がるアルプスの自然は極めて変化に富んでおり、緑の草原には色鮮やかな花々やハーブが咲き溢れています。この多彩な自然の恵みをレッヒの人々は「自然薬局」と呼び、様々な効力を持つハーブを用いて日々の生活に役立てています。ハーブの知恵は、古くから村人の健康を守るために僧侶らによって研究され、村人に広められてきたものです。そして今なおレッヒに伝わるハーブの知恵は、親から子へと大切に伝えられています。レッヒの人々にとってハーブは生活に欠かすことのできない薬草です。ハーブはまさにチロル・アルプスの大自然が生み出した恵みなのです。

タイム
 
 

ヨーロッパハイマツ

しもふり松 Zirbe

家屋や、家具を作ったりするときの材料として、チロル地方では好んで使われてます。丈夫で何十年にもわたって芳香を放ちつづけるのが特徴。最近ではしもふり松は減少しているのが現状です。インスブルック近郊のグルンゲッツァーとパッチャーコーフェルの間には約7kmにわたって広大なしもふり松の森を通るハイキングコース(標高2000m付近)があり、人気のコースの一つになっています。

もみの木 Tannenbaum

マツ科。常緑針葉高木。クリスマスツリーとして使用される樹木です。冬にはクリスマスマーケットでも売り出されます。

  花・薬草・ハーブ
 

アルケミラ Frauenmantel
ハーブティーとして飲用。口内・喉の炎症にはうがい薬として利用。生理出血や更年期障害、下痢を伴う胃腸障害にも効果的。

アルニカ(うさぎぐさ Arnika(保護植物)
ハーブティーとして口内・喉のうがいに使用。出血、打撲傷、傷口などの治療に効果的。

アルペン・エンツィアン Alpen-Enzian
鮮やかな青や紫の色が印象的なリンドウの一種。アルプスの三大花のひとつで、標高2000~3000mで見られます。アルプスではこの他に、花の咲き方や形が微妙 に違う、数種類のリンドウの仲間が見られます。

アルニカ
 
 

アルペンローゼ Alpenrose
ハイキングの途中でもよく見かける、アルプス三大花のひとつ。 "ローゼ"と言ってもバラではなく、ツツジによく似ています。群生して咲くピンク色の花が大変鮮やか。

イラクサ Brennessel
ハーブティーとして飲用。新陳代謝を促進、発刊作用があり、痛風やリュウマチの症状軽減を助け造血作用もあります。鉄分不足、痛風、肝臓病、前立腺疾患や胆嚢疾患にも有効。脱毛症には、イラクサの根で頭皮をマッサージ。

エーデルワイス Edelweiss
花びらに見えるのは芳情包状葉で、中心の黄色い球形が花です。日当たりのよい岩場に生息しています。野生の花に出会うことは大変難しい、アルプスの三大花の一つです。

アルペンローゼ

クレソン Brunnenkresse
葉は生でサラダに用いられます。ビタミンA、C、Dとカルシウム、鉄分を多く含み、血液浄化、熱さましの効果があります。

コケモモ Preiselbeere
ジャムやムースとして食前に食用。食欲不振に有効。とりわけ子供によく効きます。

コゴメグサ Augentrost
ハーブティーとして飲用。抵抗力を強め、子供に効果的。湿布や眼の洗浄にも利用できます。慢性・急性の目の炎症、充血、涙目に有効。

サクラソウ Schluesselblume
根を用いたハーブティー:1日2~3カップ。咳、痰による喉詰まり、気管支炎に有効。花を用いたハーブティーは発汗作用があり、偏頭痛に効きます。

セイヨウノコギリソウ Schafsgarbe
草全体を用いたハーブティーとして婦人病、胃腸、胆嚢、肝臓の障害に有効。 胸焼け、食欲不振、胃炎にも効きます。

タンポポ Loewenzahn
ハーブティーとして根と葉を利用。肝臓、腎臓、胆嚢の機能障害、リューマチ、通風に有効。衰弱した時の体調回復を助けます。

 
 

トウヤクリンドウ Gelber Enzian(保護植物)
根を使用したハーブティーとして食欲不振、胃腸障害に有効。

ビャクシン Wacholder
 実を用いたハーブティー:1日2~3カップ。または数週間にわたり実を食用する治療法。毎日3回、1粒から15粒、その後再び分量を減らし、数週間は治療法を休止。
腎臓疾患のある場合と妊娠中には食用しないこと!リューマチ、痛風、消化不良、食欲不振に有効。

ブルーベリー Heidelbeere
実を乾燥させフルーツティーとして飲用。下痢に有効。うがい薬として口内、歯茎、扁桃腺の炎症にも効果的。

トウヤクリンドウ
 
 

メハジキ Mutterwurz
ハーブティー:名前が示す通り産前・産後の様々な障害に効果あり、とりわけ母乳分泌を促進します。

ヤナギラン Weideroeschen
ハーブティーとして前立腺炎に有効。

ヤナギラン